サクラと密月
恵介との出逢いはありきたりだ。
秋の終わりの季節が変わりた頃、
会社の上司が進めたセミナーに参加した時の
ことだった。
その能力開発セミナーで同じグループにいたのが
彼だ。
様々な会社からやって来たひと達とグループに
なってテーマを決め、それを具体的にグループで
進めるというもの。
その時彼はリーダーで、私達のグループはとても
良い成績を納めることが出来たのだ。
メンバーも良かったのだと思う。
けれど、皆を答えへと導く彼の力も、大きかった
と思う。
時に話がそれそうな時、また話が煮詰まったとき、
彼の紳士な態度が皆をまとめ上げてあいたのも
事実だった。
意気投合した私達メンバーは、自然に皆でセミナー
終了後飲みに行こうと言う話になり、出掛けること
になった。
会は大いに盛り上がった。
彼はその中でもそつなく皆と会話をする。
その姿が印象的だった。
場を支配しようとするより、皆を上手にフォロー
する。
ああ、こんな人もいるのだなと思って彼を見つめて
いた。
自分のことばかり話す人や、自分のことしか
考えない人が多いから。
また、好き嫌いで判断する人など。
仕事がらみの飲み会は相手によっては辛かったり
する。
けれどその日は違っていた。
同年代が多かったからかもしれない。
お酒が進んで、お酌で彼が隣に来て話を始めた。
彼は誰とでも話をするので、自然に話ができた。
「未羽さんが、上手に話を文章にまとめてくれて
とても助かりました。ありがとう。俺文章書くの
苦手で。」
ああ、まだ少し彼の話を聞いていたい。
そう思わせるのに十分な笑顔。
もうその時、彼に惹かれていたのかも知れない。