サクラと密月



下腹部に響くようなこの波の音。


水平線を船がゆっくりと移動している。


海岸で食事を探すカモメ達がギャーキャーと声を上げる。


何よりもこの目を奪う眩しい海面をの輝きだ。


それは不規則で一つも同じものがない。


だから何時までも見入ってしまうのだった。



どれぐらい見とれていただろう。



足が疲れてきた俺は、座るところを捜した。


コンクリートのブロックで、海岸線と堤防を固めてあったのでその上に腰を下ろした。



そして蘭にようやく返信のメールを書き出した。


この景色を彼女にみせてやりたかった。




メールありがとう。


返事遅くなってごめん。


この間は一緒に食事ができて嬉しかった。


昼間からあんなのばかり食べて、女ってずるいよな。


恩に着せるつもりはないが、あの日おれは夕方まで蘭を待っていました。


心配だったからです。


色々あると思うけど俺はいつでも蘭の味方です。


何もできないけど何時でも思っています。


先日海に行ってきました。


綺麗だったので写真を撮りました。


送ります。


ではまた。



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