「私は貴方のモノ」【完結】
その翌日。
久々に大学に向かうと、俺を見付けた梓が驚いた声をあげた。
「彬!久々過ぎでしょ!」
「……ああ」
「最近、8にも来ないし。
寂しかったー」
「悪い、引っ越しがあったからな」
「え。そうだったの?手伝いにいったのに」
「別に業者入ったから必要ねえよ」
「引っ越しそばとか作ったよ?」
「……それは食った」
タエがそばがいいって譲らなかったからな。
「そういえば、最近変な女が尋ねて来たよ。彬の事」
「……変な女?」
顔を顰める梓に、俺の眉がぴくりと動く。
思い当たる人物はただ一人だ。
「私も最近連絡取ってないーって言ったらすぐに納得した様だったけど」
「……そうか」
「もう来ないかと思って心配したよ!彬!」
「心配かけて悪かったな」
「タケルも心配してたよー」
「後で電話しておくわ」
「そうしてあげて」
それから、講義を受けて昼になり食堂に入った俺の腕を誰かが引っ張った。
ぐいっと引かれた腕の先を辿る。