「私は貴方のモノ」【完結】


すぐにタエの肩を掴んで引き剥がすと、その顔をまじまじと見つめた。
相変わらず涙はタエの目から零れていたけど、さっきまでの弱弱しい瞳なんかじゃない。



「…アキラは、私のモノだよ」



そうハッキリと告げたタエに息を呑む。
それから、再度手が伸びて来て、それは頬を包み込んだ。
そして、俺の唇に自分の唇を押し当てた。



触れるだけのキスをすると、タエは微かに顔を離して。



「…アキラが、私を好き、になる前から。
私は、アキラを、好きだった」



そう告白した。



「…ずっと、アキラに…片思いしてた」


言ってる、意味がわからない。
理解出来なくて、俺はタエをじっと見つめる。



そのタエの顔が。



「アキラを、愛してます」



そう告げた瞬間、笑顔へと変わって行く。



初めて、見せた笑顔。

本当、なのか?
本当に…、タエは俺の事を?



我慢出来なくて、微笑むタエの体を強く抱き締める。
ぎゅうぎゅうと息が出来ないくらいに抱き締めた。
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