潰れたリップクリーム。
「ごめんな、仕組んだの俺なんだ。
南がさっきのことでお礼言いに来るって分かってて兄貴に連絡したんだ。
【放課後、俺の教室に来い】って」
「そっか…」
「悪かったな。兄貴がちゃんと自分の口で言いたいって効かなかった」
「そっか。巧先輩頑固だもんね」
笑いながらあたしを抱きしめる長谷部の腕を掴む。
「…辛くねぇのかよ」
「辛いに決まってんでしょ…」
言った瞬間、涙が溢れた。
「なんで2ヶ月しか経ってないのに彼女なんて作ってんのよ…」
「うん…」
「年の差なんて1つだよ?そんな変わらないのに…なんで…」
「うん…」
長谷部の胸に顔を埋める。
「大好きだったのにっ」
1年の時に長谷部と話していたら長谷部に会いに来た巧先輩と出会った。
それから会う度に挨拶するような関係になって、連絡先を聞かれて、その後告白された。
人気者のあの巧先輩と両想いになれるなんて思いもしなかった。
付き合って知っていく巧先輩の一面にただただ嬉しかった。
でも巧先輩が卒業しても続くと信じていた関係は1年とちょっとで呆気なく散った。
受験という納得しきれない理由で。