私、立候補します!
晴れる時もあるのだが通して見れば曇りが多い。
そのため、長雨が続いた後や晴れの天気が必要な時はエレナがどこかに出かけるほどである。
これにはさすがにラディアントも言葉をつまらせた。
(雨をもたらす人がいるというのは知っているけれど、まさか彼女がそうだなんて……)
この呪いには今のところ直接的に近い影響を与える魔術が干渉出来ないため、天候を変える魔術も自分の姿を変える魔術も効き目がない。
ただでさえ日中は女性の姿で少なからずストレスを感じるのに、夜間も耐える日が確実に増えるとなると精神的に厳しい。
しかし、詳しい話を聞いても態度を変えずに接してくれる人と新たに出会えたのは久し振りで。
その縁をすぐさま切ることもまた難しかった。
「……ここは国が違うし、もしかしたら大丈夫かもしれない。しばらくはよろしく頼むよ。ね?」
眉を下げた笑みで返されたエレナは多分変わらないと思います、とは言えず。
曖昧な表情でこちらこそよろしくお願いしますと言うにとどめた。