君は僕を好きになる。
「相模!! 開けて!!」
「幸せになって」という直哉の言葉を背に受け、タクシーに飛び乗った私は、インターフォン越しに驚く相模にかまわず、オートロックを開けさせて彼の部屋へ急いだ。
ドアを開けた相模は帰ったばかりなのか、スーツのままで立ち尽くしていて、その胸に勢いのまま飛び込み、背中にギュッと腕を回す。
だって、伝えたい。
「何で勝手に殴り込みとか行くの?」
「……ごめん」
いっぱいいっぱい、伝えないと。
「相模は何で分かったの?」
「何が?」
ホントに、どうしてくれるの。
「私が相模を好きになるって、どうして分かってたの?」
その質問に、見上げた彼の瞳が驚いたように瞬いて、次の瞬間、フッと優しげに細められる。
「だって、俺が一番深山のこと好きだし、大事にする自信あるし」
もう嫌だ。
「相模ぃ……」
「ん?」
「大好き」
こんなに好きにさせて、どうしてくれるの。
ボロボロ泣く私を見て「俺の方が好きだと思うよ?」と笑った相模に唇を塞がれて、思い出したのは苦いキス。
だけと、今日は――。
「何か、甘い」
「あー、今ココア飲んでた」
「ココア!」
吹き出す私に不貞腐れていたけれど、そこはやっぱり相模。
「そんな余裕でいられるの、今のうちだけだからね」
閉められたドアに手をついて、耳元で囁く彼と交わす次のキスは、一体どんな味がするのだろう。
-fin-
