ベルリンの壁ドォォン‼︎
再び部屋に静寂が訪れる。

私は床にへたり込み、口を尖らせたまま、西田を見上げていた。

「あんた部屋にいたの?」

「いたよ。お前らの会話まる聞こえだし」

「……うー」

「だから邪魔してやった。前にお前にも邪魔されたことあったから、その仕返し」

何それ。

そうか。こいつは単に私の恋路の邪魔をしたかっただけか。

って、私は一体何の期待をしていたのだろう。

窓の外から、夕焼け空のオレンジ色が部屋の中に差し込む。このまま空に向かって風船のように飛び立ちたい気分になった。

私はため息を吐きながら立ち上がった。

「もういい。帰って」

「ごめん。さっきの嘘」

「……え?」

西田を見ようとした瞬間、私の肩は掴まれ、そのまま彼と私の部屋を遮る壁に追いつめられる。

「越えられない壁なんてもんは、俺がぶっ壊してやるよ」

そう彼の口から発された瞬間、後ろの壁に衝撃音と振動が走った。

実際にはヒビ1つ入っていないんだけど、私には先日のゼミで流されていた映像が見えた。

ガラガラと、私と彼を隔てる壁が崩れる音が聞こえた。


「……ぷっ、今がキメどころってやつですか? ってか手、痛くないっすか?」

と私が笑うと、「うるせーよ」と言って、西田はオレンジの光を浴びた顔を真っ赤にさせていた。


☆おわり☆
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