ベルリンの壁ドォォン‼︎
それに伴い元彼も「いいから力抜けよ」と囁き、私のTシャツの中に手を入れてきた。

うわあ、コイツもヒートアップしてやがるし!

もうーーー!!

パァン、と自分の中で、風船が割れる音がした。


「西田ぁああ‼︎」


私は、元彼を振り払い、西田の部屋に面した壁に向かって、渾身の一撃を放った。ドオォンという衝撃音と振動がマンション中を駆け巡る。

「はあ、はあ」

肩で息をしながら、その壁を睨みつけていると――。

ピンポンピンポピピン……ッポーン!

部屋の中にせわしないインターホン音が響き渡った。
……だから、最後のタメは何なんだよ!

「お前、人のパラダイスタイム邪魔すんじゃねーよ!」

扉を開けた瞬間、西田がドスドスと部屋の中に上がりこんできた。

「今、人が……」と言いかけながら部屋の中に戻ると、

「あ、西田じゃん」「お、山上じゃん」

と2人は声をかけ合っていた。

西田も元彼(山上)も同じゼミ仲間なので、お互い面識はある。

「山上~、東野ちゃんはダメダメ。俺隣だから知ってるけど夜な夜な男が部屋に入り込んでるし」

「あ、そーなん?」

「うかつにここ来たら、絶対そいつにボコられるし帰った方がいいよ?」

そう言って、西田は元彼を睨んだ後、その腕を無理やり掴み、部屋の外に追い出して鍵をかけた。

何度か扉を叩く音が聞こえたけど、しばらくすると止み、足音も遠ざかっていった。
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