S系課長のアメとムチ~恋はお叱りのあとで~
その様子を見て、彼は私を抱きすくめたまま、くすくすと笑っている。
彼のきれいな目から伸びる長い睫毛が揺れている。

「もう、いいです。佐藤さん、笑いすぎです。」

開き直って、少し拗ねた振りをすれば、彼は「悪い、悪い」と言いながら穏やかな視線を向けてくる。

「認めたな、俺のこと好きだって。」
「はい。」

初めて胸が躍ったあの瞬間から、私は彼のことが、ずっと好きだったのだろうか。
よく分からないが、今、この瞬間に私の中にある気持ちは間違いなく本物だ。

「やばい、松岡が可愛すぎる。」

彼はそう言って、私の唇を奪った。
何度も角度を変えて啄まれ、名残惜しく離れた唇は、今度は耳元で優しく囁く。

「俺も、好き。」


さっきまで気が付いてすらいなかった想いは、驚くべき速さで実を結んだ。
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