思い出の場所で②
彼女を追いかけて
山口に亜弥からのメールを見せられて、修先輩が亜弥を追いかけて行った事実を聞いた俺は、亜弥が忘れ、修先輩も忘れて行った亜弥の白いコートを持ち、2人を追いかけた。
亜弥の行き先は、たぶん高校の体育館。
俺が亜弥と出会った大切な場所だ。

俺が店を出ようとしたとき、
「根本くん、どこに行くの?」と志村の声が聞こえたけど、今の俺には志村にかまっている時間はない!
「ごめん、急いでいるから!あとは頼む!」
山口がちゃんと説明してくれるだろう。
そう思いながら、高校に向かって走った。

校舎の裏を抜け、体育館の入口に近付く。
見えてきた人影。
修先輩が亜弥を抱きしめているように見える。
まさかな…

「亜弥!」

彼女の名前を呼ぶと、2人は離れた。
やっぱりそれは、亜弥と修先輩で…
俺の姿を確認した亜弥は、なぜか俺から逃げるように走り出した。

逃げられると、追いかけたけなる。
というか、俺は亜弥をつかまえて、ちゃんと話をしなくちゃいけない。
だから、亜弥を追いかけた―



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