思い出の場所で②
こんな時の亜弥の行き先は分かっている。
校舎の西館と体育館の間にある中庭だ。
天気のいい日はお弁当を食べたり、水道があるから、ランニングのあと給水したりした場所。
俺は亜弥が走って行ったのとは反対方向に、中庭へ向かって走り出した。
案の定、亜弥は中庭に来た。
「亜弥」
俺は彼女をつかまえると、彼女の息が整うまで待った。
待ちながら、コートを羽織れせる。
「…どうして来たの?」
落ち着いた亜弥が、俺にかけた第一声がそれ。
「亜弥、突然いなくなるし、コートも忘れてるし、心配だから来た」
そう答える。
「コートは、メールで修ちゃんに連絡したから大丈夫だったのに…」
「そう?
さっき、修先輩と一緒だったけど、先輩、亜弥のコート持ってた?」
「……………」
黙り込む彼女。
質問を変える。
「…どうして逃げた?」
「……………」
「…亜弥?」
俯いたままの彼女に、優しく問いかける。
「…だって、私…」
そこまで言って、口を閉ざす彼女。
ここで逃がす理由(ワケ)には行かない。
ドンッ
俺は両手を壁について、彼女の行く手を塞いだ。
校舎の西館と体育館の間にある中庭だ。
天気のいい日はお弁当を食べたり、水道があるから、ランニングのあと給水したりした場所。
俺は亜弥が走って行ったのとは反対方向に、中庭へ向かって走り出した。
案の定、亜弥は中庭に来た。
「亜弥」
俺は彼女をつかまえると、彼女の息が整うまで待った。
待ちながら、コートを羽織れせる。
「…どうして来たの?」
落ち着いた亜弥が、俺にかけた第一声がそれ。
「亜弥、突然いなくなるし、コートも忘れてるし、心配だから来た」
そう答える。
「コートは、メールで修ちゃんに連絡したから大丈夫だったのに…」
「そう?
さっき、修先輩と一緒だったけど、先輩、亜弥のコート持ってた?」
「……………」
黙り込む彼女。
質問を変える。
「…どうして逃げた?」
「……………」
「…亜弥?」
俯いたままの彼女に、優しく問いかける。
「…だって、私…」
そこまで言って、口を閉ざす彼女。
ここで逃がす理由(ワケ)には行かない。
ドンッ
俺は両手を壁について、彼女の行く手を塞いだ。