ダンナ様を妬かせる方法
「ただいま」

帰宅はいつも、祐一の方が後だ。

それまでに帰っているわたしは、夕飯の支度をするのが日課になっていた。

「お帰りなさい」

廊下を小走りに駆けていくと、玄関で靴を脱ぎ終えた祐一が笑顔を向けてくれた。

「そんなに走って来なくてもいいのに」

「だって……」

早く会いたかったから。

本当はそれを伝えたいのに、恥ずかしくて言えない。

だけど、せめて態度で伝えられたら……。

控えめに手を差し出すと、祐一は小さく首をかしげた。

「カバン……。持つよってこと」

古風なやり方かもしれないけど、祐一の『奥さん』になったってこと、実感したかったから。
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