カラダ探し~最終夜~

「朝っぱらからイチャついてんじゃねぇよ。あー、気分悪りぃ」


高広をにらみつけて、不機嫌そうに文句を言った。


毎日の事だけど、今日は特に機嫌が悪そうに感じるよ。


「別にイチャついてねぇよ。なあ?」


私に振られても困るんだけど。


武司にしてみれば、「赤い人」に勝てなかったという事もそうだけど、高広の反応がおとなしいのが気に入らないのかな。


「チッ! おい明日香! 『昨日』もあっさり殺されちまったぞ! どうすればあの化け物に勝てるんだ。教えろ!」


「昨日」も勝てなかった。


その事実が武司にいら立ちを生んでいるのだろう。


だけど、どうすれば勝てるかなんて、私が知るはずがない。


「化け物? それに『昨日』っつったか? お前らまさか……『カラダ探し』やってんじゃ……」


「毎日言わせる気かテメェは! 1回聞いたら覚えやがれ!」


私達の「昨日」の高広には話したけど、今日の高広には話していないのに、それを言っても意味ないよ。


さすがに今の言葉には高広もムッとしたようで、武司をにらみつける。


「俺は初めて聞いたぞコラ。テメェこそ理解して『カラダ探し』やってんのか? あぁん?」
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