素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~
私が仕事をしていれば橘部長の低い声がオフィスに響く。




「佐藤、後でこの資料を総務課に持って行ってくれ。
土曜日の会議の時に使う資料だから忘れずに頼む」




土曜日の会議って事は……。
私たちが作った口紅の資料かな?




「橘部長、私が持っていきましょうか?」




最後まで責任を持って自分が作った資料を見届けたかったという気持ちもあり申し出れば、橘部長は眉間にしわを寄せながら口を開く。




「泰東は別の仕事があるだろう。
さっさと終わらせろ」

「……はーい……」




私は肩を落としながら仕事を続ける。




「夏香、俺が責任を持って届けるからな」

「お願いします!」




佐藤せんぱいは資料を掲げながら笑顔でデスクに戻って行った。


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