素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~
「……お前はいったい何をしているんだ」

「……すみませんでした」




総務課を後にした私と橘部長は資料室にいた。
橘部長に呼ばれてついてきたらここに来ていた。



ため息交じりに橘部長は私を見た。
お説教をされるのだろう。


私がやった事は許されることではない。
いくら頭に血が上ったからって、他の部署の人に食って掛かるなんて……。




「さっきはあぁ言ったが……お前も大人げない事をするな。
売られた喧嘩をわざわざ買うなんて時間の無駄だ。
受け流せるくらいの気持ちを持て」

「……はい」



橘部長はそれだけ言うと黙りこんでしまった。

怒っているのだろうか、それとも呆れているのだろうか。
どっちにしても最悪だ。


橘部長に迷惑は掛けるは、悪い印象を与えるは……。
まぁ、最初からいい印象なんて持たれていないか。


自嘲に近い笑みを心で浮かべていれば、静かな空間に声が落とされた。




「心配掛けるな」

「え……」




思わず聞き返してしまった。


橘部長が私を心配してくれている?
そんな事……ある訳ないのに。


さっきのは聞き間違いだと自分に言い聞かせても、私の鼓動は激しく揺れ動く。

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