君への距離~僕らの未来~
翼も二階から降りてきて話の輪に加わっていたのだけど…、
「杏と翔太はお祭りなんか行っちゃだめだ!」
近所の人たちが帰ったあといきなり父ちゃんが杏に言った。
「え?」
「翔太はまだ小さいんだから!危ないだろ!」
ウソ。きっと父ちゃんは杏と翼がデートするのがイヤなんだ。
「え―!!いやだぁ!行きたい~」
「杏、杏も母親なんだから少しはガマンしなさい!」
さすがにそこまで言われてあきらめた様子の杏。
隣の翼もガッカリした様子。
翼もお祭り行きたかったのかな?
「翼!あたしをお祭り連れてって」
だから誘ってみた。
「僕?」
「うん」
翼がいいの!
「父ちゃん!いいでしょ?」
きっと父ちゃんはあたしに感謝するだろう。
杏と翔太を独り占めできて。
「ああ、行ってこい!行ってこい!」
翼はチラッと杏を見た。
「あたしは気にしないで♪」
杏は笑っていた。