好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
三十分後、お互いの家と家の真ん中辺りにある駅で待ち合わせをした。


休日にふたりで会うなんて、なんか〝デ〟の付くアレみたいだけど、これは決してアレではないので、あえてトレーナーにジーンズというどうでもよさげな格好で来てみた。さすがにもうちょっとオシャレしてきてもよかったかな、とも思ったけど、待ち合わせ場所である改札付近ですでに待ってくれていた課長も、パーカーにジーンズという、似たような格好だった。


「お待たせしました」

「おう」

短くそう答えた後、課長はちょっとだけ辺りを見回して。

「……あのさ、誘っといてなんだけど、休日にふたりきりでいるとこ誰かに見られたらちょっとアレじゃないか?」

「まあ、アレですね」

「だからさ、このまま俺んち行かないか? 誰にも見られる心配ないし、お前も、なにか話したいことあるんだろ? どこか店入るより、俺んちの方が話しやすいだろ」

私のことを考えて、こうして休日に呼び出してくれた課長は、ここでも私のことをいろいろ思ってくれている。そう思うと、すごくうれしかった。

「うん、じゃあ行く」

そう言って私は課長と一緒に、もう何度目かの課長の家へと向かった。
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