好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
ムッと課長を軽く睨みつけてから私は、

「初めまして。高柳さんと同じ会社で働いてます、百瀬と言います」

と言って、頭を下げた。会社、の部分にちょっとアクセントを置いた。私の言葉を聞くと、店長さんが気まずそうに謝った。まあ、店長さんは悪くない。中学生にはしょっちゅう間違われるし、小学生って言われることも多いから。

けど、相変わらずクックッと笑ってる隣のこの男には腹立つ。


「高柳さん、今日もカウンターでいいです?」

店長さんが課長に尋ねる。それに対し、ようやく笑うのをやめた課長は、
「あ、いや、今日は座敷で」
と答えた。……『今日も』ってことは、課長はいつもはカウンターで飲んでるんだろうな。
でも、今日は私が相談ごとをしやすいように、座敷を選んでくれたんだよな。

……腹は立つけど、本当の嫌な人じゃない。分かってたけど、改めて感じた。
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