キスよりも熱いもの

「男ならあれくらいの押しの強さも必要だよね。多少の強引さは株上がるよ。椎名みたいな冷めてる人にはわかんないだろうけど。冷めてるっていうより枯れてるか。女口説く甲斐性なさそうだし」


 憎まれ口ならいくらだって出てくるのに。
 このもやもやした気持ちを私自身が持て余している。


 椎名は軽く肩をすくめて私の暴言を聞き流した。


「枯れてる、ねえ……」


 聞こえた声は相変わらず温度が変わらない。
 はずだった。


 正面から腕が伸びてくる。
 思わず目を見開くと、椎名が私の顔の両脇に手をついていた。壁と椎名の身体に挟まれる形で向かい合う。私の顔を覗き込むように椎名が顔を傾ける。
 目が、近い。まるでキスでもするかのような距離。
 けれどその眼に射抜かれたかのように動けない。


「……多少の強引さってこういう感じ?」

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