キスよりも熱いもの


「……舌入れるか、普通……」


 こんなに濃厚なキスをするのは初めてだ。
 椎名の唇が唾液と移ったグロスで光っている。その濡れた様子がやたらと官能的だった。


「なんでいきなり」


「したかったからしただけ。それ以外に理由なんてないし」


 焦る椎名が見られたんだから、私の目的は果たされたわけだ。
 さっきのまでの苛立ちは綺麗に姿を消していた。


「人が来なかったから良かったようなものの……」


 私はいっそ人に見られたって構わないけどね。そこから何かが変わるかもしれないし。
 早々に椎名の顔色は元に戻ってしまっていた。それでも満足感はちゃんと私の中に残っている。


「二人揃ってあんまり席外してたら変に思われるし、私先に戻るから」

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