悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「でも、平均越えなかったのは現社だけだし、それも別に赤点じゃないんだからいいでしょ」


毎回どの科目も平均点は越えていたから、今回の現社はちょっと残念だった。

でも、誰だって常にいい成績をキープ出来るわけじゃないでしょう。


あたしはそう思っていても、お父さんはどうも気になるらしい。

眉をひそめ、厳しい表情をして言う。


「そんなこと言ってるとどんどん下がっていくぞ。最近ずっと携帯も弄ってるじゃないか。遊びに夢中になって、勉強をおろそかにしないようにな」


……たしかにスマホを弄る頻度は増えたかもしれないけど、遊んでるわけじゃないのに。

カチンときたあたしは不機嫌さを露わにするけれど、お父さんは気付くことなく再びテスト用紙に目を落とす。


「英語も平均ギリギリじゃないのか? 英会話も習わせてたのに、ひよりは得意じゃないみたいだなぁ」


おかしいな、というように首をひねって呟くお父さん。

単純に思ったことを口に出しているだけなんだろうけど、あたしにはものすごく嫌味に感じた。

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