悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
整ったキレイな顔。まつ毛長いし羨ましいな……なんて思いながら見つめていた、その時。

ガタンッ!と、少し大きく電車が揺れ、柳の上体があたしの方に傾いた。


「っわ──!?」


ずるっとあたしに寄り掛かるように倒れてきて、とっさに支えようと彼の肩を手で押さえる。


ぎゃー! なに、この抱き留めたような体勢!

柳の柔らかな髪の毛が頬を、シャンプーのいい香りが鼻をくすぐって、心臓がバクバクと激しく鳴る。

あまりの急接近に硬直すると、今の振動でぱちっと柳の目が開いた。


「ん……? あ、わり」


あ、わり。じゃないよ!!

ていうか、顔が近い近い!!

動揺しまくってるあたしとは正反対で、寝ぼけたみたいにぼーっとしてる柳は、あたしに寄り掛かったまま呟く。


「ここどこ?」

「え、あ、あと5分くらいで着くよ!」

「あ、そう。じゃ着いたら起こして」


は?と思った瞬間、あろうことか彼はコテンとあたしの肩に頭を乗せてきた。

ちょーっと、何また寝ようとしてんの!? しかも人の肩を枕にして!


「ちょ、柳!」

「いーじゃん、送ってやってんだからこのくらい……」

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