悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
謝ったかと思ったら、今度は突然どうしたんだろう。

よくわからないけど、はっきりとした口調で目を見て言い切る亜美の言葉には、嘘はないような気がした。


「……うん、わかってるよ亜美。ありがと」


あたしが微笑むと、彼女の表情も柔らかくなった。

そうこうしてるうちに予鈴が鳴り始め、はっとするあたし達。


「やば、上履きどうしよ」

「スリッパ借りに行こ! これはどこか日当たりいい所で乾かそうか」

「だね」


目尻を素早く手で拭った亜美は、いつもの調子が戻ってきたみたいで安心した。

あんなに落ち込んでいたのは、リカにきついことを言われたせいだけじゃないような気がする……なんとなく。

でも、亜美のことも気になるけど、まずは自分の心配をしなきゃ。

これ以上、悪意のある嫌がらせをされないといいけど……。


今まで均衡がとれていたリカ達との関係が崩れつつあると思うと、やっぱり気が重くなる。

沈んだ気持ちを抱きながら、あたしは靴下のまま、亜美と一緒に職員室に向かって走った。




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