悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
ただ、一つだけ気掛かりなのはやっぱり……。


「反対されそうだな、ひよりの父ちゃんには」

「そこが問題なんだよねー」


腕を組んで、うーんと唸るひより。

昔から彼女を溺愛していて過保護な彼は、俺にとっても、秋史よりよっぽど手強い存在だったりする。

ひよりには苦労せず進んでほしいと願っているだろうから、大学を変えるとなったら色々言いそうだ。


険しい表情のおじさんを思い浮かべていると、ひよりがぱっと顔を上げた。


「でも、今度は反対されても、自分の意見は曲げないつもり」


強い意志を滲ませる彼女の明るい表情に、俺も笑みがこぼれる。

ひよりは優しいヤツだから、小さい頃から親の言うことは忠実に聞いていた。

それはすごくいいことだけど、自分の本心まで押し殺すことはないんじゃないかなって思うんだ。



一層暗さを増した空からは、糸みたいに静かに雫が落ちてくる。

下駄箱まで来ると、ひよりは自分の淡い色のドット柄の傘を開き、俺を見上げた。


「あれ、傘は?」

「持ってきてない」

「えー」


ひよりは顔をしかめるけど、荷物多くなるのが嫌であんまり傘は持ち歩かないんだ。

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