悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「あははは! 柳がそんなに気を遣ってくれるなんて~」

「いやまぁ……八つ当たりして悪かったなーと」


ポリポリと頭を掻く柳の頬が、少し赤く見えるのは夕陽のせいかな?

何がどうなって八つ当たりしたのかわからないけど、仲直りしたかったのはあたしだけじゃなかったんだと思うと、ものすごく嬉しい。

今、このタイミングで会えたことも。


柳がここにいることの嬉しさや安堵で気が緩んで、笑いながらも目頭は熱くなる。

あたしはもう、彼がいなきゃダメかもしれない──。


「バイト終わって、電話掛けたけど出ねーし家行こうと思ったら、またオバケみたいなのが今度はブランコ乗ってるからさ」

「お、オバケは、ひどいって……」

「そんなに泣くほど面白かったか? 俺の執事キャラ」


膝の上に置いたケーキの箱に、ぽとぽとと雫を落とすあたしの顔を覗き込んで、茶化したように言う柳。


「……なワケねぇよな。何があった?」


あたしの前にしゃがむと、今度はとても優しい声色で問い掛けた。

同じように温かさを感じる瞳で見つめながら、あたしが話し出すのをじっと待っている。

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