悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「柳も皆の前でライブとかやったりするんだよね? 相当キャーキャー言われてるでしょ」


あまり生徒がいない棟に入っていく柳に、モテモテでいいね~なんて冷やかしてみると。


「んなの関係ねぇよ。俺は俺の好きなことやって、それで皆が楽しんでくれたらもう満足だから」


なんてことないという感じで、彼はそう言い切った。

……そんなカッコいいこと潔く言われたら、感心することしか出来ないじゃん。

鼻の下伸ばすようなら茶化してやったのにな。


飄々(ひょうひょう)とした様子で歩く柳は、2階に上がり、広そうな視聴覚室の前で立ち止まった。

「ただいまー」と言ってドアを開けた彼の後ろから、恐る恐る顔を覗かせる。


「おかえり、柳」

「お客さん連れてきたぞ」

「おっ、例のひよこちゃん!?」


ちょっと!

ここのメンバーにまでひよこって言ってるなんて!……と文句を言う間もなく、奥からハニーブラウンの少し長めの髪の男子があたしの前にぴょこっと現れた。


「わ、ほんとひよこみたいに可愛いねぇ♪ あ、はじめまして! 俺は柳の親友であり心友の涼平(リョウヘイ)でーす」

「は、はじめまして……!」

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