好きになんてならない!!
「え?三神先生ですか?」
「うん、仕事は出来そうだけど、愛想ないし、おまけに人に厳しいじゃない?全然モテるようには思えないのよね~」
私は、暇をいいことに、採血に来たナースにあの男の聴き込みをしている。
絶対に、モテる筈がない。
マイナス要素を手に入れて、あの男の顔を歪めるところを見てみたいという、ただ、たんに興味本意で。
だけど……。
「う~ん、寺川さんが言うような方ではないですよ?ああ見えて、三神先生は、どの先生よりも患者さんの事を考えていると思いますし。厳しいのは、真面目で仕事熱心だからこそだと思いますよ」
『出た……真面目』
「……どうかなさいました?」
「え?あ、ううん、何でもない」
「??」
真面目。
真面目そうな男程、怪しいものは私にはない。
結局、真面目な皮を被っていれば、女は勝手に信頼感を抱き、相手を許してしまうのだから。
そうか。だから、私の前でニコリとも見せない担当医を、私は不快に感じるのかもいれない。
正弘のように。
きっと、本性を隠していると。