好きになんてならない!!
*。.゜.
「ああ、性格0、友情、恋愛も0だからな」
「!!」
い、今なんと仰いました?!
「もしや、先生は、人の考えてる事がわかるんですか?」
「そんな馬鹿な。紗英が口に直結し過ぎなんだよ」
真太郎と付き合い初めて半年。
元彼、正弘の結婚式に出る私に、顔色一つ変えず送り出す真太郎に、ついイライラとしてしまう私。
私に興味なさすぎじゃない?
確かに、私がこのクソ担当医を好きになったのは、嫌がらせの興味本意からだけど。
『……ちょっとは、気にしてくれてもいいじゃない』
年甲斐もなく、思わず唇を尖らせる。
「……」
「もう、いい。忘れて」
「俺が、何とも思ってないと、本気で思ってる?」
「?」
「携帯」
――あの時。
『正弘は……どうしてる?……ただ、何となく聞いてみただけ……』
そう話している君の姿が、消えてしまいそうな程悲しげで……。
ブチ。
『ちょ……!!』
『此処は病院だ』
『人の連絡手段、乱暴に扱うのやめて貰えます?!』
『院内に公衆電話があるだろ』
――気が付いたら、電源を切っていた。
「携帯……?」
「……いや、やっぱりいい」
「……は、はあーーー?!もう、絶対、好きになんてならない!!」
「ククク。はいはい、正弘に宜しくな」
「軽くあしらうなーー!!」
(完)


