真夜中のパレード




彼女の言葉に胸が詰まる。

どこにも行かないで欲しい。

彼女の手を、離したくない。




それでも、問いかけられれば
答えはとっくに決まっていた。


真剣な表情で透子を見つめ返す。



「探します。
あなたを見つけるまで、絶対に」


透子は涙を流しながら、
嬉しそうににっこりと笑った。


「それなら、どうか見つけてください」



そして愛しそうに彼の胸板に顔を埋め、
優しくささやいた。



「どうか私のことを見つけてください。
私はあなたの近くにいます。


……きっと、あなたが思っているよりずっと、
近くにいますから」


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