真夜中のパレード


天音さんに会いたい。


彼女のことを抱きしめて眠れば、
どんな疲れだって一瞬で消え去ってしまうのに。


スーツから電話を出して
どうすべきか迷いながら立ち尽くしていると、
背後で男の声が聞こえた。


「あ」



疑問に思って振り返り、
上条はぎょっとして目を見開いた。




すごく派手な男が、すぐ真後ろで
自分を見下ろしている。



190cmくらいはあるだろうか。


自分もそこそこ背が高い方なので、
見下ろされるのは新鮮だった。


しかし彼の身長が高いことより驚いたのは、
自分を見つめている男の
その髪の毛の色だ。


先をふわりと遊ばせた、金髪の少し長い髪。

しかも一部に赤メッシュが入っている。


そして耳には十字架やドクロなど、
禍々しいデザインの大量のピアス。


見ているだけでぞっとして、
上条は咄嗟に自分の耳を隠したくなった。


あんなにたくさん穴を開けて、
重そうな金属を耳たぶにぶら下げて、
痛くないのだろうか。
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