真夜中のパレード


「えっと、えーーーーーーっと」


謎の男は何やら考えているように、目を閉じる。


顔立ち自体は端正だ。


奇抜な服装や金髪に視線が集中していたけれど、
よく見ると少年のようなあどけなさが残っている。


なんとなく年上の女が
構いたくなるような顔だろうな、と思った。


「思い出した、かみじょーさん!」


突然知らない男に名前を呼ばれ、
動揺する。


「何で俺の名前を」



「何で?
えっと、今度はそっちか」


そっちとは、どっちだ。


突っ込みたくなったが、
下手なことを言ってキレだしても困るので、
またしばらく黙って待つ。


「えーっと」


不審な男は目を細め、
Santanaの中を覗きこんでいる。


……早く帰りたい。
疲れた。
この男は、一体何なんだろう。


上条がだんだん不機嫌になっていると、
男は笑顔で頷いた。


「お、そうだそうだ。
俺、天音の友達の冬馬!

分かる?
藤咲天音の友人!」
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