真夜中のパレード


三人はえー、だってねー、と顔を見合わせる。


「さっき七瀬さん、今回のことで長い間休んじゃったから、
皆さんにご迷惑かけてすみませんって謝ってきたんですよ。

もうそんなんいいよーって思って」


「健気だよねー、なんか。
でも無理してるのこっちにも伝わってー」


「そうそう、
ああやって無理する人って、
突然ぽきっと折れちゃったりするんだよね。

心配かも」


それを聞いていた渡部が食事を食べながら会話にまざる。


「でも上条さんもたしか去年……

あっ、
すみません、余計なことを」


失言だったのに気付き、口をつぐむ。


「いや、別にいいが」


上条はあらためて父が亡くなった時のことを思い出す。



「確かに親が死んだ時は、
しばらくは沈んでいたな。

やっぱり親は一番身近な存在だし、
ショックも大きいだろう。

なるべく力になってやってくれ」


野田が上条の顔を見上げながら質問する。


「そういえば上条さん、
七瀬さんのお母さんの病院に
送っていったんですか?」


「あぁ、タクシーを待つより早かったからな」


「へぇ、そうなんですか……」


上条はまた透子の沈んだ顔を思い出し、
心配になった。


「七瀬はあまり近くに頼れる人がいないみたいだ」

< 207 / 307 >

この作品をシェア

pagetop