真夜中のパレード
上条の表情は途端に困惑したものになる。
「……泣くな」
「すみ、ませ」
いきなり泣きだした自分を、
きっとおかしいと思っただろう。
こんな所で泣いても迷惑なだけだ。
けれど止めようとしても、なかなか涙は止まらなかった。
周囲に人はいないとはいえ、
ホテルの廊下だ。
けれど一度涙が流れはじめると、
涙腺が壊れたように止まらなかった。
「……そんなに俺のことが嫌いか」
上条の表情が、悲しそうに曇る。
それを見て、余計に胸が苦しくなった。
「嫌い、なら……」
「え?」
熱を帯びた上条の視線が、
波紋になって全身に甘い毒のように広がっていく。
透子は気が付くと、震える声で本心をこぼしていた。
「……あなたが嫌いなら、
こんなに悩んだりしません!」