真夜中のパレード
透子の表情がぱっと明るくなった。
「う、うわぁ! いいなぁっ」
子供のような反応に、上条はつい笑ってしまう。
「……写真とか、見ますか?」
「えっ! 見たいです、見たいですっ!」
歩きながら差し出された携帯を受け取ると、
コロコロした薄灰色の猫がいた。
つんとすましたポーズで、じっと上を見上げている。
透子はとろけそうな笑みを浮かべた。
「う、うわぁ! かわいい……本当にかわいいですねぇ」
少し夢見がちな表情で彼に携帯を返す。
「いいなぁ。私の家、ペット禁止なんですよ」
「すごく生意気で気まぐれですけどね」
「でもそこがかわいいんですよね!」
透子は瞳をきらきらさせながら上条に問いかける。
「ロシアンブルーですか?」
「そう見えるでしょう? 雑種なんですけど」
「そうなんですか」
彼は困ったように頬をゆるめる。
「もともと姉が拾ってきた捨て猫だったんですよ。
ケンカして負けて、病気になって
ボロボロな感じでうちの前歩いてて」
それを聞いた透子はにっこりと微笑む。