甘い誘惑~なんだかんだで彼は私の扱いが巧いらしい~
互いの口内を貪って、クッキーの余韻が欠片も無くなり、私はようやく男を突き飛ばすようにして離れた。


「し、舌まで入れる事ないじゃない。こんな所で!」


これは見事ダイエットを挫かれた事ヘの八当たり。

そして甘い誘惑でキスを唆した山門の意外な狡猾さに。


「このぐらいの得役がなければ割に合いません。」


しれっという山門に私は地団太を踏む。

そんな私を余所にキャスターでデスクに戻った山門は徐に紙袋を取りだした。

デスクにどどーんと置かれたのは、色とりどりのオカズが目にも鮮やかな二段重ねのお重弁当。


「……ぅわぁ。山門クンが大きいのも納得だわ。そんなに食べるの。」

「何言ってんですか。萩原さんが食べるんですよ。」

「え?私?」


ぽかんとする私に山門が朗らかに笑った。


「萩原さんの体調が心配で、今日そこは何が何でもダイエット止めてもらおうと思ってました。でもどうしても痩せたいと言うならば、せめて野菜中心の低カロリー料理でプッシュしてみようかと。」

「山門クンが作ったの?」

「勿論」と山門が得意げに頷く。

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