課長が私に恋してる?
「あ、私の降りる駅、ここなんです」
桜町ー、と間延びした駅員の声がして、私はパッと席を立つ。
その反動で、寄りかかっていた如月課長がよろけたのが横目見えた。
「では如月課長、寝るんだったら家帰ってゆっくり寝てくださいね」
じゃあ、また明日と言って急いでホームへと出る。
え、と驚く如月の声には気付かないふりをした。
ともかく、今日は疲れたのだ。
しかも帰りの電車で上司にまで会ってしまうのだからなかなかの厄日だ。
はやく帰って夕飯作らなきゃ、と思ってはたと気付く。
「あ……あああああ!!!!野菜忘れたあああっ!」
…ーー本当の厄日はこれからだった。