課長が私に恋してる?
「次の全体会議で使う書類の作成、終わりました。これ見本です」
ちょうどお昼休みになる5分前、琴子は印刷し終えた書類を持つと、パソコンとにらめっこしている如月課長に声をかけた。
ちらりと顔を上げた課長は、いつも通り無言で琴子から冊子を受け取り念入りにチェックをしていく。
この時間が一番緊張する。
でも、今日はいつもと違う意味でも、緊張しているのが自分でもわかる。
まったく昨日添い寝した男とどの面下げて顔合わせればいいのよ、と思いながら出社した朝8時半。
もう既に出社していた課長は、琴子とすれ違うときいつもは目も合わせずに挨拶をする。
なのに、今日は。
(………まったくもって挨拶もされない始末!)
ちなみに琴子はいつも通り爽やかな笑顔でおはようございますしたはずだ。多少、声は強張っていたけれども。
ほんと、恋に慣れない男子中学生か、というツッコミは心の中だけに秘めておく。
ようやっとチェックを終えて顔を上げた如月を気づけば琴子はすごい形相で見ていたらしい。
あからさまに琴子の顔を見てびくりとした如月に、逆にニッコリ微笑んでやる。
「チェック、終わりましたか?」