課長が私に恋してる?


「………バカ正直だな」



呆れたような笑みは、どこか楽しそうでもあって。



「すみませんつい本音が!」



そうつられて答えたときにはなんだか琴子も楽しくなってきていて。
同時にどうしようもなくやる気が出てきていた。



「ありがとうございました、如月さん。さっそく頑張りますから、見ててください。絶対、私のこといつかコイツ使える!って言わせてやりますから!」



そしてガッツポーズを決めると、如月は口元に笑みを浮かべた。
自惚れていいなら多分、後輩への親愛の笑みを。



「励めよ」



そうしてまた自分の業務に戻っていった如月の背中を目に焼き付けた。
広い背中だ。いつかぎゃふんと言わせてその背中を小ぢんまりさせてやるのだ、という意気込みと共に。



ーーーそしてあれから約1年半。
ようやくのこの、台詞。



「浮かれない訳ないよねーーー!!」



そう叫んでからルンルン気分で食堂へと琴子は駆けていった。
今日は少し高めのA定食にしようと心に決めた。


< 55 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop