足音
「ああっ!稲毛なにしてんだ!?うちのクラスのプリントじゃん…」
「ち、ちがう!!俺じゃねぇよ南が!」
「拾え〜っ!」
真っ白な絨毯みたいに広がったプリントを先生が発見し、稲毛は捕まってる。
その隙に、私たちは逃げた。
スタスタスタ。
パタパタパタ。
音は違う。
なのにリズムが一緒なの。
たぶん、それは――
手が捕まってるから。
「…南」
「なに?」
前と前を向いてるから、顔がわかんない。
ちょうどいいや。
「やめてよ――舞い上がっちゃうからさ、私」
さっき、フラれたとこなのに。
ぴくんと、彼が反応し、体が止まる。
振り向かないで、頼むから。
「…ごめんね」
「なにが?」
「…私、南の迷惑考えないで付きまとってた」
好きな人じゃないと、あんなに気持ち悪いんだね。
きっと、ものすごく迷惑したでしょ。