足音
「あ!そーそー、加世あんたアイツどーすんの?」
「アイツ?私、もう行かなきゃ…」
「アイツだよ、稲毛!」
稲毛。
知ってる名前だった。
隣の隣のクラスの奴で、非行の悪さが有名。
それなりに美形の男子で、バスケだかなんだかで県内選抜に選ばれている。
「うっ…だって、あの人、知らない、し」
「はー?だって選抜に選ばれたイケメンよあんた?何その理由ー」
ぐいぐいと肘で二の腕をつつかれ、嫌そうに顔を歪めた。
ああ…なるほど。
そういうことか。
「…」
「あ!ごめんミミ、もう行かなきゃ」
「ちょ、付き合うならちゃんと言えよー?」
俺の視線に気づいたらしく、慌てて駆けてきた。