「お前なんか嫌いだよ」
「自分のことくらい自分で管理しろ。詰めが甘い性格こういう所にも現れてんだな、お前」
そうしてなぜか私の右手と、奥に佇む内田を冷たく一瞥して。主任はカツカツと靴音を響かせて去っていった。
確かに、確かにおつり取り忘れたうえに、事もあろうか上司に届けてもらうとか、私も詰めが甘かったですよ、ええ!
でも、でも、だからってー……!
「あの視線には堪えられないのよぉぉぉぉお!!」
「はいはい、分かったからゆっくり静かに食べようねー、七海ー」
ちなみに内田も去年まで同じ課で主任の下で一緒に働いていたので、私に対して主任の風当たりが厳しいことは把握済みだ。
例えば雑務押し付けるのは必ず私だったり、叱るときは密室でこってり絞られたり、はたまた飲み会では完全に私がお酌係だったりetc
「もう、みんな私が怒られるの面白がってるでしょ…」
二人っきりにされて取り残されるのもよくあることだ。
「まあ、いろんな意味で面白がってる節はあるだろうな…」
ぼそりと呟いた内田に「いろんな意味?」と尋ねるも笑顔で交わされる。なんじゃい。