「お前なんか嫌いだよ」
「あの、いま、主任……わた、私に………」
戸惑って、どんどん赤くなっていく私。
そんな私をいつの間にか壁に押し付けて、睨むように見据えてくる夏樹主任。
「分からなかったか?何されたか。じゃあ、もう一回だな」
「っふぁ」
押し付けられたのは主任の唇だった。
そう、思い知らされるくらい、熱くて長い口付けだった。
「……な、んで、ですか………」
息も切れ切れ、乞うように主任見上げると、ハッと彼は鼻で笑った。
「お前が嫌いだからだ」
だから、口付けた。
そんな、全く支離滅裂な理論は次の言葉で明らかになる。
「お前が、付き合ってる男がいるくせに俺を煽るのが悪い」
そう、鋭く睨まれ、右手を強く握られる。
「知らないだろ、年単位で俺が我慢してたこと。
この指輪に狂いそうなくらい嫉妬していたこと」
そうして持ち上げられた右手薬指には確かに指輪がはめられていた。