壁ドンってステキッ!
「ダメ。今は俺に集中して」


瑠偉に顎をクッと持たれ、また見つめ合う形になる。


「なによっ。こんなことろでイチャイチャしちゃって」


私たちを見た女の人は、吐き捨てるようにそう言って、私たちとは逆方向に歩いて行った。


「ありがと、助かったよ」


女の人が遠くに行ったのを見届けると、瑠偉が私から体を離す。


「なに?てかなんで、瑠偉がここに?」


「あーちょっとした勘違い?一回寝たら、付き合ってるって思われたみたいで。それで追われてた」


そう言って瑠偉が、長い髪をかきあげる。


「芸能人……」


「ん、一応ね」


ニコッと笑った瑠偉が、腕時計をチラッと見る。


「あっ、そろそろ収録の時間。お礼、なにがいい?」


「お礼?」


「今ならなんでも叶えてあげる」
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