禁じられた放課後


外国人教師ではなく、ただの日本人英語教師である直哉が英会話担当として採用されたのは、

恩師でもあるこの桜台高校長の筒井が、海外で子供達に日本語を教えたいと言う直哉と美咲の夢を知っての事であった。



とはいえ受験にはそれほど必要とも思われない英会話は一年生とニ年生のみの授業。

涼香のいる三年生では選択教科としても英会話は入っていなかった。





「なぁ山根。高校生になっても落ち着かない生徒はいるもんなんだな」



職員室の隅にある小さな二人掛けの黒いソファに座って、直哉はコーヒーをひと口飲んだ。

近くにいた山根も隣に腰掛ける。



「山根」

「なんですか」

「二人は狭いよ」

「二人掛けなのに?」

「お前は立って」



しぶしぶ山根が立ち上がる。

目を細めて直哉を見下ろしたが、直哉はそれを見ようともしなかった。




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