禁じられた放課後


うつろな視線で遠くを見つめる。

その隣で美咲は、再び降り始めた雨の音に耳を澄ましていた。

流れ落ちる髪を右手で束ね、グラスから落ちた滴で指先をもてあそぶ。



「信じられなくなっているのは確かです。最近どこか心が浮ついているような、そんな態度が見られて……。それがすごく気になって……。直哉にもそんな生徒がいると言うんですか」



美咲は鞘野の方へ身を乗り出し、その真剣な瞳で鞘野の意見を求めていた。

賑わう周りの席に反するように、どこか暗く沈むようなカウンターのその席で、互いの気持ちを引き合うように二人の女が自分の立場を露にする。

自分たちは、もしかしたらどこか似ているのかもしれない。



「私もかつては一人の人を信じていたわ。同じ教師の仕事を持っていてね、結婚の約束もしていたの。でもね、若いあの娘たちは、私には補えないいろんなものを持っていて。純粋な瞳や、張りのある肌が、常にあの人の周りを囲んでいるのよ。
そんな時、心揺れるのは人間として当然なことよ。別にそれを責めたりはしないわ。でも勘違いをしてはいけなかったの。あの人の相手は私よ。しょせん女子高生なんてただの憧れだとか、流行だとかで教師に近付いてくるの。
それを本気だと思って、自分の立場を見失うなんて最低だわ」





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