禁じられた放課後


信じていた人を信じられなくなることはなによりも不安で怖い。

直哉が何を考えているのかが次第にわからなくなって行く。



「あ、先輩。見てくださいよ。星図って不思議ですよね。ずっと大昔からそのそれぞれの位置は航海などの目印とされてきたって聞いてますけど、流星のようにどれかが流れて消えてしまったらどうなるんでしょう。

いや、流星がこの星たちのように大きなものではないことは知ってますよ?でもこうやって大きな銀河の中で、引かれず離れずでバランスが保たれているじゃないですか。それって本当に不思議で、運命的なことで。

もしもどれかひとつが欠けてしまったり、その距離を変えてしまったら、きっと全てが崩れて行くんじゃないかなって思うんですよ。これってまるで、人間関係の拡大図みたいじゃないですか?」
 



夕暮れ時の蝉は、昼間よりも低く深く鳴いているように感じる。

それはとても耳障りで、心のバランスまでも崩れてしまいそうだった。




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