先生の手が触れる時


「探したよ、凪」


にやり、と父は笑う

後ずさると、父はそのまま家に入り、鍵を後ろ手で閉める

「な…なんでここ………」

声が震える。
頭のなかで、逃げなければ、と声がする

「まったく……父親に何も言わず引っ越すとは……困った子だ……なっ!」

父は後退り尻餅をついた私のお腹を蹴る

「がはっ…げほっげほ……」

お腹をおさえうずくまる私をそのまま床に押し付ける

「!」
「あぁ、何て顔だ」
「や……やめて……」

首を横にふる

「やめて?だと……」

父の雰囲気が変わった
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