先生の手が触れる時



あの日から私は、放課後美術室に通うことが日課になった

「失礼しまーす」

準備室のドアをあけると中には誰もいない

緑川先生はいないことが多い
なので私も、遠慮なく準備室に入り二時間ぐらいあの女の子の絵を見る。

今日も一人、その絵の前に椅子を持ってきて、腰かけながらただボーッとその絵を見つめる

「………求めるもの…」
「中々、思い浮かばないんだよ」
「ぅわぁ!!」

いきなり耳元に声が届き思わず立ち上がると
いつの間にいたのか緑川先生が斜め後ろでにこにこと笑っている

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