先生の手が触れる時
「痛いの痛いの飛んでけー!」
「……優人」
「こうするとね、痛くないよ。だから、泣かないで、お姉ちゃん」
「……うんっ…そうだね…痛くないね」
更に溢れた涙は抱き締める腕に染み込んでいく
受け入れるなんて出来なかった。
どこの世界に父親との歪んだ愛を受け入れられる人がいるのだろう。
諦めることはできる
何も感じない人形のようになれば痛さすら感じなくなるのだろう
でも
『人間は抗ってる時が一番美しい』
あの言葉が脳裏にこびりついた
だったら
私も、美しくなる
抗ってみようと少しだけ思えた